フルミスト
- 2024年10月17日
- 感染症
フルミスト
上青木もりクリニックの森春奈です。主に小児科を担当しています。
今回ブログを開始することになりました。
クリニックからのお知らせだけでなく、疾患のこと、診療中に皆様からよくいただくご質問などもご紹介できたらと思っています。
少しでも皆様のお役に立てるよう更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします!
初回は今年度から始まった経鼻型インフルエンザワクチン(フルミスト)についてのお話です。日本では今年度からの導入ですが、アメリカでは2003年から、ヨーロッパでは2011年から使用されています。
当院でもすでに接種を開始しておりますが、いつもは大泣きしているお子様も泣くことなくニコニコして帰っていくので親御さんもホッとしていて穏やかに終了できる、という印象です。
鼻に何かを入れようとするだけで怖がってしまう小さなお子様には少し難しいかもしれませんが、ある程度理解できる年齢のお子様、注射の嫌いな大人の方(18歳まで)にはよいのではと思います。
フルミストの効果
フルミストは生ワクチンで鼻粘膜で直接免疫を起こさせるので、重症化を抑制する効果だけでなく感染そのものを予防する効果も期待できます。
特に小児でその予防効果が強く、不活化ワクチンより効果が長持ちするという報告もあります。
ただ、海外の報告によるとその年の流行株によっても効果は様々なようで、日本小児科学会では効果に差があるとは明言していません。
フルミストの副反応
副反応として30~40%の人で接種後3~7日までに鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳などの感冒症状が、数%の人で発熱を認めることがあるとされていますが、弱毒化されているためインフルエンザのような強い症状は引き起こさないようです。
ここで問題となるのが抗原検査です。
フルミストは鼻粘膜に直接付着させるので、接種後に「風邪をひいたかな?」と思ってインフルエンザの抗原検査をすると陽性となってしまう可能性があります。
ワクチンによるものなのか、本当にインフルエンザにかかってしまったのかわからないということになってしまいます。
このことからも、フルミストをご希望の方は流行期に入る前に済ませておくのがいいかもしれません。
フルミストと喘息
米国では喘息または喘鳴の既往歴のある2~4歳児への接種を推奨していませんが、日本の添付文書上では「重度の喘息を有する者または喘鳴の症状を有する者における接種には注意」という記載のみとなっています。
喘息の治療をしている方でも症状が安定していれば接種は可能かと思いますのでまずはご相談ください。
喘息を持っている患者さんがインフルエンザにかかってしまうと重症化することも珍しくありません。フルミストでも従来の不活化ワクチンでも、とにかく予防していくことが大切です。
今年から始まったワクチンですので、いろいろと疑問に思うことがあると思います。
出来る限りお答えしていきたいと思いますので何かあればお気軽のご相談ください。
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