大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査とは、肛門からCCDカメラ(超小型カメラ)が搭載された内視鏡を挿入し直腸から盲腸までの全大腸(一部小腸)を調べる検査のことです。病変の組織を採取して病理検査に提出したり、大腸ポリープが見つかればその場でポリープ切除も可能です。検査時間は観察のみでは15~20分ほどですが、腸が長い方、癒着のある方、肥満の方などは少し時間がかかる場合もあります。大腸がんの発症には加齢、飲酒、喫煙、食の欧米化、運動不足といった生活習慣や遺伝的要因が複雑に関わっているとされていますが、ほとんどは良性の大腸ポリープ(腺腫)から発生します。そのため、小さいポリープの時点で切除することが大腸がんの予防につながります。また大腸がんはかなり進行しないと自覚症状が現れにくいという特徴があるため、早期発見のためには症状のない段階から定期的に大腸内視鏡検査を受けることが有効です。
当院では大腸内視鏡検査に対する「つらい」「苦しい」「痛い」「恥ずかしい」というイメージや大腸内視鏡検査に対する不安を解消できるような環境をめざしており、1人でも多くの方に定期的に大腸内視鏡検査を受けていただくことで、地域の方々の大腸疾患の早期発見と治療に貢献したいと考えています。
内視鏡挿入時にスコープを伸展させることなく挿入できれば痛みを感じることはほとんどありません。しかし、腸が長い方、癒着のある方、肥満の方などはスコープが伸展したり、腸に負荷がかかり痛みを伴うことがあります。そのため、ご希望により鎮痛剤や鎮静剤を使用して検査を行います。ほとんどの患者様は眠っている間、またはボーっとしている間に検査を受けていただけます。また内視鏡挿入時や観察のため送気を行いますが、お腹の張りを感じたり吐き気を起こすこともあります。当院では空気よりも吸収の早い炭酸ガスを送気して負担も軽減しています。スコープ先端にフードを装着し、挿入時の送気を減らしたり、ヒダ裏やシワの奥の観察もスムーズになります。
このような配慮を行うことで苦痛が少なく、質の高い検査を受けていただけるよう心がけております。
検査中に前がん病変のポリープが見つかった場合、ポリープに応じた切除が可能です。大きいポリープ、茎が太いポリープ、多数のポリープが見つかった場合などは入院による治療が必要になることがあり、高度医療機関をご紹介いたします。
コールドスネアポリペクトミーは、基本的にはがんの可能性がない10mm以下のポリープをスネアで絞扼して通電せずに切除する手技です。痛みは感じません。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、病変と筋層の間の粘膜下層へ生理食塩水を注入し人工的に隆起を形成し、通電して切除する手技です。粘膜下層に生理食塩液の層があるため、ある程度大きく切除しても、安全な方法となります。やや大きめのポリープや早期癌の一部はこの方法で切除いたします。
鎮痛剤や鎮静剤を使用して検査を受けていただいた患者様は、検査後1~2時間ほどベッドでお休みいただきます。当院では2か所のリカバリースペースを用意しており、検査後も安心してお休みいただけます。
当院ではFUJIFILM社製の6000システムを採用しており、拡大スコープEC-6600ZPを使用しております。硬度調整機能など患者様の負担を軽減する機能がついており、拡大観察も可能です。高出力LED照明を用い、白色光画像に加えてBLI(Blue Light Imaging)画像やLCI(Linked Color Imaging)画像の画像処理を加えた強調画像を得ることによって病変が診断しやすくなっています。
日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準じて内視鏡検査1件ごとに手洗いと内視鏡洗浄機(カイゲンファーマ株式会社製のCLEANTOP KD-1)にて洗浄・消毒を徹底しております。
ご希望があれば同日に胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を受けられます。仕事でお忙しい方や時間がなかなか取れない方は来院回数を減らすことができます。
当院では、日本消化器内視鏡学会専門医が検査を行いますので、できるだけ患者様が苦痛を感じず安心して検査を受けていただくよう努めてまいります。
早期発見・早期治療ができるよう定期的に検査なさってください。
大腸ポリープの多くは無症状ですが、健康診断での便潜血反応で陽性になることが少なくありません。発症原因としては、遺伝的なものが多く、そのほかに食生活の欧米化なども考えられています。大腸ポリープの全てが大腸がんに移行するわけではありませんが、そのリスクを診断するために大腸内視鏡検査を行う必要があります。定期的に大腸内視鏡検査を行うことでポリープの早期発見が可能となり、低侵襲な内視鏡治療が選択できます。10ミリ程度までの大腸ポリープであれば、日帰り切除を行うことができます。
平均寿命の高齢化に加え、食生活の欧米化など様々な要因もあり、大腸がんによる死亡者数は増加傾向にあります。大腸がんは症状を自覚することが難しく、気付かないうちに進行します。症状が出てから診断に至った場合には、内視鏡治療などの低侵襲な治療が選択できないことがあります。下痢や便秘などの排便異常、血便がみられる方や便潜血反応陽性の際は、定期的な大腸内視鏡検査をお勧めします。
遺伝的要素も考えられていますが、明確な原因は不明です。口腔から肛門までのすべての消化管に起こる可能性があり、浮腫や潰瘍を形成し症状を引き起こします。腹痛と下痢が高頻度にみられますが、発熱、体重減少、栄養障害、血便、肛門病変(痔ろうなど)が現れることもあります。難病に指定されていますが、適切な治療で症状を抑制できれば健康な人と変わらない日常生活を送ることが可能です。大腸内視鏡やCT検査などにより、病状の進行状況を判定しながら治療を行います。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜を中心にびらんや潰瘍を形成します。症状としては下痢や粘血便、腹痛、しぶり腹(便意があっても便が出ない、出ても少量)、重症化すると発熱、体重減少、貧血などがみられることもあります。難病に指定されており明確な原因は分かっていませんが、適切な治療により症状を抑制できれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を送ることが可能です。定期的な大腸内視鏡検査が必要となります。
予約制ですので、一般外来を受診していただき予約をお取りください(原則、電話での予約は受けつけておりません)。
問診・診察・血液検査・検査の説明を受けていただいて、同意書記載を行っていただきます。
また、その時に内服薬がある患者様は必ずお薬手帳か現物を持参してください。
特に血液さらさらの薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を内服中の患者様は、病状やお薬の内容によって組織検査や治療手技(ポリープ・粘膜切除術)が行えないことがあります。
1
前日
必要に応じて検査食を摂っていただきます。
午後9時以降は何も食べないでください。
午後9時に下剤を飲んで頂きます。
水分(水、お茶、スポーツドリンク)は寝る前まで飲んでかまいません。
2
当日
起床後、コップ1~2杯の水、お茶を飲んでください。
朝食は摂らずにご来院ください。
心臓、血圧、気管支喘息、てんかんのお薬を飲んでいる方はいつも通りにお飲みください。
血液をサラサラにする薬、糖尿病のお薬を飲まれている方は、事前に主治医の先生に内服方法を確認してください。
3
前処置
検査開始3時間ほど前から約1~2リットルの下剤を約2時間かけて飲んでいただきます。
可能な方は自宅で飲んでいただきます。
ご自宅での前処置が不安な方は、当院にお越しいただいて前処置を行うことも可能です。
4
検査
ご希望により鎮静剤・鎮痛剤を使用いたします。
検査時間は観察のみでは15~20分ほどですが、腸が長い方、癒着のある方、肥満の方などは少し時間がかかる場合もあります。
色素を撒いたり、組織検査(粘膜組織を一部採取し、顕微鏡で詳しく調べる)を行う場合もあります。
また検査時にポリープが見つかった場合、必要に応じてその場で切除することも可能です。その場合も少し余計に時間を要します。
5
検査後
診察室で結果を説明します。
鎮静剤・鎮痛剤を使用した場合は、1~2時間程度休んでから帰宅していただきます。
検査当日は車、バイク、自転車の運転はお控えください。
観察のみの場合は水分・食事は1時間後からOKです。組織検査、ポリープ切除を行った場合、水分・食事は2時間後からOKですが、当日はアルコールや刺激物は避けてください。
ポリープ切除を行った場合は、術後1週間は胃腸に優しい食事を心がけてください。アルコール、香辛料、炭酸飲料、脂っこいもの(揚げ物など)、刺身等の生ものは避けていただくことが望ましいです。
組織検査・ポリープ切除を行った場合は、約14日後以降に結果を説明します。
1割負担の場合(検査代のみ) | 3割負担の場合(検査代のみ) | |
大腸内視鏡(観察のみ) | 約1,500~2,000円 | 5,000円前後 |
大腸内視鏡(組織検査あり) | 約2,500~5,000円 | 約8,000~14,000円 |
大腸内視鏡(ポリープ切除した場合) | 約6,000~8,000円 | 約18,000~24,000円 |