舌下免疫療法

今回は舌下免疫療法についてのお話です。

日本気象協会による２０２５年春の花粉飛散予測（第１報）では、今年の夏の猛暑が影響して飛散量は広い範囲で例年より多いとの予測だそうです。

関東甲信でも飛散量が少なかった今年よりはかなり多く、例年よりもやや多いだろうといわれています。

 

花粉症

日本では年花粉症の患者さんが増加していて、約２人に１人が花粉症、その中でも特に多いスギ花粉症は３人に１人とも言われています。

春の花粉症の原因にはスギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ（シラカバ）などの樹木の花粉がありますが、風に乗って数百ｋｍも飛ぶのでスギやヒノキが少ない都心部にまで大量の花粉が飛んできます。

スギ花粉の飛散時期は２～４月で３月がピークとなります。

一方、秋の花粉症はブタクサやヨモギなどの花粉は中心で９月頃が飛散のピークとなります。

通年性アレルギー性鼻炎（ダニアレルギー）

季節に関係なく年間を通してくしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状が見られます。

主な原因はダニやカビ、ペットの毛などが挙げられますが、その中でも特に多いのがダニです。

みなさんがよく耳にする「ハウスダスト」も実はダニの死骸やフンが主な成分といわれています。

ダニは暖かく湿った場所、例えば布団やじゅうたん、畳などが好きなので布団の洗浄や乾燥、清掃はとても大切ですが、どんなに頑張っても完全に除去するのは難しいかもしれません。

 

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法は、アレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲンを少しずつ体内にとり入れながら徐々にアレルギー反応を弱めていく治療です。

スギ花粉（シダキュア）とダニ（ミティキュア）に対するアレルギーが治療の適応となります。

２０１４年にスギ花粉に対して保険適応となり（１２歳以上）、２０１６年にはダニに対して（１２歳以上）、２０１８年からは両方とも５歳以上で適応となりました。

治療期間が３～５年と長いので続けるのが大変ではありますが、治療を継続していただくことでアレルギー症状を緩和またはなくすことができます。

即効性はなく効果がみられるまで半年以上かかるといわれており、１～２年で効果判定して症状が軽快していない場合は効果なしと判断して治療を中止することもあります。

一般的に８割の方に効果があるといわれています。

 

対象

５歳以上の方で、ラムネ上の薬を舌の下で１分ほど置くことができる方

 

治療を開始できない方

〇スギ花粉、ダニのアレルギーがない方

〇重症の気管支喘息の方、またはコントロールが不良な方

〇悪性腫瘍（ガン）の治療中の方

〇自己免疫疾患などで長期ステロイド加療を受けている方

〇妊婦の方、授乳中の方

 

治療の流れ

アレルギー検査を行って症状の原因となるアレルゲンを調べます。スギ花粉、ダニアレルギーの診断がついたら院内で初回の服用をしていただき、急性の副反応が出ないことを確認します。

特に問題がなければ２日目以降はご自宅での服用となります。

まず最初の１週間は少ない量で開始をして、問題がなければ増量してそのまま継続していきます。

当院では開始２週間後に一度ご来院いただいて服用状況や副反応がないかどうかなどを確認し、その後は月１回受診していただいております。

 

治療開始時期

スギ花粉　６～１２月（花粉の飛散時期さけます）

ダニ　　　いつでも可能

＊両方ご希望の場合は通常１か月以上あけて開始となります

 

舌下免疫療法の副反応

アナフィラキシーの頻度は約１万回に１回、アナフィラキシーショックは約１００万回に１回と言われており比較的安全な治療です。

最も多い副反応は口の中や喉の腫れた感じや痒み、不快感そして耳の痒みなど局所の反応です。

多くは服用後３０分以内に起こり、数十分で消失します。

発生頻度は、スギ花粉では約３０～４０％、ダニでは約６０～７０％であり増量期にみられることが多いですが、１か月程度経過すると軽減してくることが多いようです。

局所反応が出た場合または出ることが予想される場合はアレルギー剤の内服を併用することも可能です。

万一、全身の副反応、例えば意識レベルの低下や全身のじんましん、喘鳴を伴う咳、嘔吐を伴う腹痛などが見られた場合は治療を中止します。

 

ひとこと

当院で治療されている方の多くは効果を実感されている印象です。

治療にあたってはいろいろと不安なこともあると思いますが、まずはお気軽に医師にご相談ください。

治療期間が長いため、お子様の場合はお父さん、お母さんが毎日声掛けするのは難しいと思います。

お子様自身がしっかりと理解して「頑張って治したい！」という気持ちをもって治療を始められるといいですね。

今年度のスギ花粉の治療開始は１２月までとなりますので、ご希望の方はお早めにご来院ください。

スギ花粉の初期量の薬の流通が少ないため在庫がない場合もございますので、ご来院前にお電話にてお問合せください。

 

川口市の内科・消化器内科・小児科・皮膚科・アレルギー科

上青木もりクリニック